第61回 国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト

- 第61回(2021年度) 入賞者発表 -

受賞者/題目
外務大臣賞 さいたま市立植竹中学校 保坂 歩花 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
- 明るい灯で輝く世界を願って -
文部科学大臣賞 新潟大学附属新潟中学校 高橋 くらら さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
- 子ども食堂が世界を救う -
公益社団法人
日本ユネスコ協会連盟会長賞
白百合学園中学校 小松 葵 さん
国際協調はどうして大切なのか
公益財団法人
日本国際連合協会会長賞
同志社中学校 伊藤 凛香 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
公益財団法人
安達峰一郎記念財団理事長賞
明治学園中学高等学校 坂本 明優 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
NHK会長賞 関西学院中学校 松枝 賢 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
- テロリズムを減らす方法 -
国際連合広報センター賞 広島大学附属福山中学校 加藤 里桜 さん
国際協調はどうして大切なのか
金賞 足立区西新井中学校 青栁 美空 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
- 「当たり前」のことができるなら -
高水高等学校付属中学校 穐山 桃子 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
北九州市立板櫃中学校 山崎 ほの花 さん
日本が国際社会でリーダーシップを発揮するためには、どうすればよいか
- 安全な水を世界に -
銀賞 大阪市立水都国際中学校 佐藤 優衣 さん
日本が国際社会でリーダーシップを発揮するためには、どうすればよいか
- 核兵器廃絶に向けて -
高岡市立五位中学校 河村 朋花 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
- ランドセルにこめた可能性 -
南風原中学校 宜名真 ゆい さん
日本が国際社会でリーダーシップを発揮するためには、どうすればよいか
佳作 更別村立更別中央中学校 和田 一花 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
- 当たり前をありがたい社会に -
白百合学園中学校 池田 百合子 さん
もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
静岡大学教育学部附属浜松中学校 井上 月 さん
日本が国際社会でリーダーシップを発揮するためには、どうすればよいか
- 私が学び、伝えたいこと -
四天王寺中学校 植木 衣咲 さん
日本が国際社会でリーダーシップを発揮するためには、どうすればよいか
- 日本人のきめ細かな対応力を発揮して、前向きな難民対策を -

入賞作品紹介

もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
- 明るい灯で輝く世界を願って -

外務大臣賞
埼玉県 さいたま市立植竹中学校 3年 保坂 歩花

「ハッピーバースデー、五歳おめでとう!」

十年前の誕生日に、プレゼントをもらって笑顔でケーキのろうそくを吹き消す写真が残っています。きっと日本では、よくある光景の一つでしょう。しかし、世界に目を向けると、五歳の誕生日を迎える前に命を落とす子どもは一年間で約五二○万人もいます。私はユニセフが発足して百年の節目となる二○四六年までに、出産時のケア不足や予防可能な病気で命を落とす子どもがいない世界になってほしいと思います。なぜなら、出生国や地域、環境の違いで、医療が受けられないことで、助かる命が助からないという悲しい現実を解決しなければいけないと思ったからです。

私は今年八月に「ユニセフ・リーダー講座」に参加しました。SDGsに関連した世界の子どもが抱える課題の講義を聴いた後、グループで「世界中の人が適切な医療をうけるためにはどうしたらよいか」というテーマでグループ討論を行いました。同じ分野に関心をもつ六人で様々な意見を出し合うなかで、想像もしなかった方法や、新たな視点を発見することができました。この経験を通して、より深く子どもと医療の課題を調べてみたいと考えるようになりました。

ユニセフによると、アフリカ東部のソマリアでは八人に一人が五歳になることができません。これに対して日本で五歳になることができない子どもは五百人に一人です。世界全体での死亡率は年々減少する傾向になってきていますが、地域間の格差は広がり、特にアフリカでの死亡率の高さは顕著になっています。その主な原因は、出産前後の問題や感染症、安全な水の不足などが挙げられます。出産ケアを受ける費用が捻出できずに、医学的知識を持つ人の付き添いがないままでの出産や、ポリオやジフテリアなどワクチン接種によって防げる病気で命を落とすことが日常的に起きています。また、清潔で安全な飲み水を得られない人は世界で一億四四○○万人にのぼります。たとえ非衛生的であっても、その水を使わなければ生きていくことができません。しかし、それは下痢や激痛をもたらすメジナ虫病を引き起こし、命と未来を奪うことにつながっているのです。また、新型コロナウイルス予防には手洗いが重要ですが、清潔な水がないことは感染拡大につながります。世界が同じ問題に直面している今、人間の命が国や地域や環境によって左右される現実に目を背けてはいけないのではないでしょうか。

私はこれらの課題を解決する一つの手段として、日本発の「母子健康手帳」の普及が有効だと思います。現在では、国際協力機構(JAICA)によって約五十の国や地域で年間二千万冊、七組に一組の親子に配布されています。妊娠中から出生後の状態、予防接種の有無や健康状態などが継続的に記されることで、居住地や医療従事者が変わっても、母子の状態の把握ができます。しかし、アフリカは識字率が低いため、文字ばかりでは敬遠されるかもしれません。しかし、イラストでの説明を中心に言葉がイラストを補完する構成にすることで、母子手帳は母親と赤ちゃんを守ってくれるものだと理解してもらうことが大切なのではないでしょうか。さらに、出産前後の生活アドバイスや、栄養の取り方、正しい手洗いの方法などの生きるために必要な情報の集約を提案します。そして、これが根付いてきたら、定期的に公的機関の検診車が地域を訪問して母子手帳を見ながら検診する仕組みが構築できればよいと考えます。

SDGsの達成期限までに全ての目標の達成は困難かもしれません。今の私にできることは、関心を持って学び続けたり、できる範囲で募金に協力したりすることだと思います。外貨を集めてユニセフに寄付をする取り組みをしている金融機関の存在を知りました。以前、祖父母からもらった外貨を寄付したいと思います。そして、全ての命の灯りが力強く燃え続けられる世界になることを願っています。

もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか
- 子ども食堂が世界を救う -

文部科学大臣賞
新潟県 新潟大学附属新潟中学校 2年 高橋 くらら

もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、食品ロスを解決し飢餓のない世界にしたい。そんな夢を抱いたきっかけは、小学六年の春休みに国連のSDGsの活動を調べたときだった。海外で飢餓に苦しむ子供達の痩せ細った姿に衝撃を受けると同時に子供達の大きく澄んだ瞳が私の心に刺さったから。私になにかできることはないかと頭で考えながらも結局何も行動できないまま過ごしていた。

転機が訪れたのは私が中学生になった時、大学生の姉から子ども食堂のボランディア活動に誘われたことだった。その子ども食堂は大学生が中心となり活動している。正直、はじめは乗り気ではなかった。自分の望んでいる国際的なボランティアではないし、姉と違って私は社交的ではない。それでも、子ども食堂に来る子供たちのためにと、読み終えた本や小さくなった服をバッグに入れた。

当日、姉は子ども食堂に賛同する近隣スーパーで出た余剰分の食材を運び、私は近所の方から差し入れを受け取る。その食材を使い大学生を中心として子供も大人も楽しそうに会話をしながら調理をする。料理が出来始めた頃には部屋の中はいつの間にか賑やかになり、大人も子供も老人もみんな笑顔で、イメージしていた暗い雰囲気も寂しげな子供の姿もどこにもなかった。お腹を空かせた子供達や近隣の一人暮らしの老人、乳飲み子を抱えた若い母親が楽しそうに長テーブルの食卓を囲む。私は一体、何を心配していたのだろう。そんな私の様子を見ていた姉が言う。

「難しいこと考えないで、まずは行動してみればいいんじゃない」

そっか、私は少し凝り固まっていたのかもしれない。国連のSDGsで学んだ食品ロスについて考え、どうしたら世界から飢餓がなくなるのかと頭で考えてばかりいた。でも子ども食堂に参加したことで私の考えは一変し、身近にもできることがあると知った。子ども食堂では廃棄されるものを有効活用し、食卓を囲んで食べることに幸せを感じる大切さを教えている。それは広い視野でみれば食品ロスの解決の糸口になる。最近のニュースでも食品ロスや子ども食堂への寄付など、様々な企業の関心の高まりを感じている。また、子ども食堂はSDGsの目標のひとつ、健康と福祉への関わりも深い。子供の悩みを抱える母親、何日も誰とも会話をしていないという老人、受験勉強でストレスを抱えた学生など、様々な想いを抱えた人達が子ども食堂には集まっていた。誰かに悩みを相談できるだけでなく、誰かと繋がっているというだけでどれほど心強いことなのか、子ども食堂に来たみんなの笑顔が教えてくれた。もしかしたらその先には救われる命もあるかもしれない。

子ども食堂と聞くと小さな善意のボランティア活動に聞こえるかもしれない。だが、その善意の活動を持続し続けることで、想いは受け継がれ、善意の輪が世界に広がれば、未来はもっとよくなるはずだ。私は子ども食堂のボランティアをして気が付いた。国連の活動は決して世界へばかり目を向けるものではないということ。身近にあることに目を向け、まずは行動し、継続することが世界へつながると伝えているのだと。

今はコロナの影響で規模を縮小している子ども食堂だが、私はあの日のことが忘れられないでいる。はじめて行った子ども食堂で、隣に座った若い母親に、世界の食料生産量の三分の一が廃棄されている現実を話してみた。すると彼女は私の話に驚きながら家庭での消費を見直したいと言ってくれた。彼女の腕の中にいる赤ちゃんの未来のためにも、中学生の私にもできることは沢山ある。

子ども食堂が世界を救う。そんな未来をつくれるかどうかは私たちにかかっている。

国際協調はどうして大切なのか

公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟会長賞
東京都 白百合学園中学校 3年 小松 葵

自国の利益のみを追求せずに諸外国と友好的に協力し共存を目指す国際協調は、次の世代に持続可能な地球環境を残すためにとても重要だと考える。

例えば、中学校の校舎のゴミ拾いを一人で行っても、綺麗にするのは困難であり、それ以前にまたちらかってしまい、美しい状態を維持することは困難である。しかし、各クラスの係と連携し、生徒全員で清掃を行うことで、今までなかなか清掃が行き届かなかった靴箱からお手洗いまでがピカピカになり、さらに各自の意識が向上したことで綺麗に使われるようになる。

学校での感染症対予防でも同様のことが言える。個人的にマスクをして会話を控えたところで、教室内のいたる所でエアロゾルが発生し、身体的接触が多い状態だと感染を防ぐことは難しい。生徒全員が協力して、マスクを着用し、教室の換気を頻繁に行い、会話を控え、黙食をして初めて、感染症対策が感染症予防につながる。学校全体を世界、生徒個人を各国と考えると、学校単位での協力関係がその問題を解決することと国際協調が世界の課題を解決することは本質的に同じであるとことに気付く。

地球の環境問題においては、各国が自国の経済成長などのエゴを抑えて、世界全体のことを考えた行動をとることが必要になる。一つの国だけが二酸化炭素の排出量を減らしても、他の多くの国々がこれまでと同じように化石燃料を使い続ければ、地球をとりまくオゾン層破壊が進み、温暖化にブレーキをかけることはできない。また、一つの国だけが海洋資源を保護しても、その分ほかの国が水揚げを増やしてしまうと帳消しとなってしまう。世界的に協調してはじめて、環境保護の対策の効果が大きなものとなる。

軍縮・核廃棄問題についても同様である。一つの国だけがそれを行って他の国が行わなければ、パワーバランスが崩れてしまい、安全保障上の問題が発生しかねない。例えば、アメリカだけ、中国だけ、ロジアだけが単独で核軍縮をするということは考えにくく、各国が協調しながら少しずつ削減を続けていくことを合意できるかどうかにかかっている。

未だに収束の見通しがたたず、その感染拡大のために体育祭や学園祭などの開催が中止を余儀なくされた新型コロナウイルスのワクチンについても同様のことがいえる。感染が深刻な地域に、ワクチンを効率的に届けることがウイルスを封じ込めることにつながる。しかしながら、貧しい国々は十分なワクチンを未だに確保できていない。

あまり知られていないが、第二次世界大戦後の荒廃からの復興は、自国の努力だけで成しえたわけではない。世界銀行からの巨額の融資で、新幹線や高速道路、ダムなどの生活の基盤を建設し、ユニセフからの寄付で子供達に救援物資が届けられた。今度は、日本が世界の貧しい国々を支援する番である。今こそ世界規模の問題を解決するために、国という枠組みを越えた国際協調が望まれる。

日本人として世界で貢献するために、中学生の今、何を心がけるべきか自分なりに考えてみた。一つ目は、世界中の国々の人々とコミュニケーションをとるために外国語を習得すること。二つ目は、それぞれの国の特性を理解し、精神的につながるために歴史や宗教、思想について学ぶこと。三つ目は、論理的に地球上の事象について議論できるよう数学や理科の教養を高めること。そして何よりも大事なのは、互いを尊重し合えるよう、基本的人権や民主主義などの普遍的な価値を尊ぶ心である。私たちの学びが国際協調に繋がり、世界の問題が解決に向かうことを願う。これまでは社会の役に立つにはどうすればよいかを漠然としか考えたことはなかったが、これからは、生徒として過ごせる時間を大切にし、世界の問題解決に役に立つ人間になれるよう、有意義な学校生活を送りたい。

もし私が世界の問題を一つだけ解決できるとしたら、何を解決しどんな世界にしていきたいか

公益財団法人 日本国際連合協会会長賞
京都府 同志社中学校 3年 伊藤 凛香

私がもし世界の問題を一つ解決できるのならば、差別のない世界を作りたい。そのために自分本位の価値観を他人に押し付けるのではなく、他人の価値観を尊重できる人を増やしたい。

小学生の頃住んでいたインドは、貧富の差が激しく、身分や出自へのこだわりが強い国だった。長年のカースト制度の影響から、今でも不可触民への偏見が残り、犯罪も頻発している。インドで貧困に苦しむ人の多くは先祖がカースト制度の底辺に分類されていた人だ。私自身が住んでいた三年間、外出すればいやでも貧富の差が目についた。セキュリティゲートがある高層マンションの足元で、小さな子供がぐったり横たわっている姿は、日本で見たことがない悲しい光景だった。ただ、都会では影響はかなり払拭されたとも聞く。実際今のインド大統領はダリットと呼ばれる、カースト制度での最底辺層出身だ。まだ完全ではないにせよ、徐々に人々の考えが多様性尊重へと近づいているように感じる。身分差別以外にも性差別や宗教差別など、多様性を尊重する社会実現への課題は多いが、年々改善しているように思える。

インドに比べれば日本での差別や格差は深刻ではないのかもしれない。性差別や人種差別なども無いとは言えないが、最近はしばしば問題が提起され、改善への風潮も高まってきている。しかし、変化による副作用もあると思う。一例として性差別解消での副作用を挙げたい。従来の問題は「女性はおしとやかであるべき、結婚後は家庭に入るべき」と言った、女性の行動や発言は抑制的であるべきという思考だ。しかしこの問題解決として、「女性は強くあるべきだ」という考え方を広めようとする動きがある。この考え方だとまた違った形で苦しむ被害者が懸念される。人前で発言し主導権を握りたいというタイプは救われるであろう。一方で人前に立つことを好まず、他人を支えたり皆で協力して暮らすことを志向する女性もいるが、このタイプにとっては居場所がなくなりかねない。「そういう時代だから」といった言葉をかけられ前に引きずり出されることだけが解決では決してない。むしろ新たに苦しむ女性が増えてしまう。解決は慎重に進め、多様性を十分に尊重して、様々なタイプの人それぞれが幸せに暮らすことができる社会が理想だと思う。

差別だけでも様々な種類があり、今現在も確かに世界中を脅かしている。ひょっとしたら、自分との差が目につく人を排除したくなるのは人間が生き抜くための本能で、多様性の尊重とは真逆なのかもしれない。差別の解消方法を考えても自分の無力さが思い知らされ絶望感を覚えてしまう。とはいえ第一歩として、自分の意識を変えることは難しいことではないようにも思う。一人一人それぞれの多様性を理解したうえで、「少しでも相手が傷つくかもしれないことは、絶対に口にしない」という心がけだ。言葉で傷つけられると、憎しみが残る。憎しみが新たな差別の源泉になってしまう。この連鎖は断ち切らないといけない。

一度染みついた価値観は簡単には変えられないし、無意識に言動にあらわれてしまうこともあるだろう。だからこそ、自分の思っていることをすべての人が思うわけではないことを折に触れて意識することが必要だと考える。自分が完全で完璧な存在ではなく、そもそも人間に完全や完璧など存在しないということを自覚できれば、他人を傷つける言葉を使うことは自ずと少なくなるであろう。多様性を認め、言葉で傷つけることを減らし、無用な憎しみを減らすことが、差別をなくすための、最初の重要な一歩だと私は思う。

中学生の私が訴えてもちっぽけな力なのかもしれない。しかし小さな意識づけの積み重ねがやがて多くの人を救い、必ず世界は良い方向に変わっていくと私は確信している。